ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

Vol.1 アートの歴史を理解する 1/3

キリスト教の普及に伴うモザイク画、イコンの登場

395年にローマ帝国は西ローマ帝国(イタリア・ローマ)と東ローマ帝国(コンスタンティノポリス)に分裂し、その後、西ローマ帝国は滅亡、政治の中心は現在のトルコ共和国の都であるイスタンブールにあたるコンスタンティノープルを中心とする東ローマ帝国に。6世紀からビザンティン帝国として勢力を拡大していきます。同時に、キリスト教普及のためにイエス像やイエスを抱くマリア像などが教会の壁にモザイクで描かれます。

また、この時代から個人の家でも祭壇用として木の板に聖人像を描いた「イコン」が作られるようにも。モザイク画とともにビザンティン時代を代表する美術となります。

ゲルマン民族の大移動に圧され西ローマ帝国は476年に滅亡すると、イタリアは混乱の時代に陥りました。553年には東ローマ帝国に吸収され、イタリア半島の一部はランゴバルド王国になり、その後は外国勢力の後押しを受け、小国や公国、王国が乱立…。その中で力を増したキリスト教は欧州圏全土に広がり、ロマネスク様式やゴシック様式の修道院や大型の教会が建設されていきます。

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ロマネスク様式とゴシック様式とは、修道院や教会の建築に用いられた美術様式で、前者はコロッセオなどのローマ風に建てられたことからこう呼ばれ、後者は後のルネサンスの建築家に「野蛮な」を意味する「ゴート的=ゲルマン的」に由来し、このように呼ばれるようになりました。縦に伸びる極端に尖った塔を持つ高層化した建築が特徴で、フランスのノートルダム大聖堂やドイツのケルン大聖堂が代表的。教会内部にはステンドグラスがあり、光の世界に包まれた荘厳な空間もゴシック様式ならではです。

エンリッチ編集部

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