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コロナでプライベートジェットが活況

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前回、アジアを中心として高級ブランドの売上が回復してきていることを紹介しましたが(前回を読む)、航空ビジネスでもプライベートジェットの利用が急拡大していることについて解説します。

安全性が最も大切

10月に入ってから、シンガポールでは市中感染がゼロの日が過半となり、感染の中心で一時は連日数百人の新規感染者が出ていた外国人労働者の寮における新規感染も2人以下の日が続くなど、少なくともシンガポールにおいて新型コロナはほぼ収束したという状況となっています。

一方、米国やイタリア・スペインといった南欧では1日の新規感染者数が最多を更新するなど欧米のかなりの国々では新型コロナが第2波となっています。年内にある程度戻ると期待された海外渡航もこの状況を踏まえると、シンガポールやNZのように新型コロナをほぼ収束させた国々の間での限定的なものとなるでしょう。

こうなってくると、既に国際線を中心としてエアラインの売上は激減していますが、回復も中々見込めないでしょう。日本でもJALが21年3月期に2,300億円前後の最終赤字となる見込みだと発表しています。ただ、Go Toキャンペーンなどを受けて国内線の需要はかなり戻ってきており、20年4~9月期に2,100億円の赤字となったところから、下半期はかなり赤字幅を縮小するという見立てのようです。

一方、国際線拡大と航空機の新規契約に近年積極的だったANAの方がコロナによるダメージが大きく、21年3月期の最終赤字は5,000億円を上回るという発表をしました。ここまでの規模の赤字は財務への影響も大きく、信用不安リスクを排除するために大手各行と合計3,500億円のコミットメントライン(融資枠)を結びました。

ただ、海外と比較すると日本の大手エアラインの状況もまだマシと言えます。各国のナショナルフラッグでは、米国のアメリカン航空が約1.1兆円、ドイツのルフトハンザが約1兆円、仏オランダのエールフランスKLMも約8,200億円と、政府もしくは政府が主導する形で金融機関から巨額の資本注入をすることでかろうじて破綻を免れていますLCCを含めるとグローバルで今年に入ってすでに50社近くのエアラインが破綻に追い込まれています。

このように世界中のエアラインが苦境に陥る中で航空機ビジネスとして気を吐いているのがプライベートジェット関連のビジネスです。

岡村聡

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