ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

ニューヨーク 4/4 
ニューヨークのエンタメ・アートシーン

ミュージカルに大きな影響をうけたように、特にNYの自然史博物館やスミソニアンの航空・宇宙博物館で恐竜の化石や航空機、宇宙船の展示を見たことで、こうしたものにこれまであまり関心を示していなかった子供がシンガポールに戻ってからも図鑑などで色々と調べるようになりました。シンガポールもミュージアムには予算を投じていますが、やはりこうした文化的な施設は長い蓄積で展示が充実していくので、NYやロンドンに追いつくのには50年・100年かかりそうです。

自然史博物館
自然史博物館

エンリッチ UR NY4 自然史博物館

今回の滞在を通じて小さいころから本物の文化・エンタメ施設を子供に見せることの重要性に気づくとともに、確かに経済成長が著しいアジアに拠点を置いていることはビジネス上有利ですが、子供の年齢が上がって教育におけるこうした文化的な側面の重要性が上がってくると、生活の場を欧米に移したほうがいいのかなと考え始めました。

NYはアートシーンも活発だと感じました。前々回のNYの高級不動産のコラムで世界からNYの高級不動産に資金が流入していることを紹介ましたが、アートの取引でもNYは依然世界をリードしています。米国のアートシーンで今最も目立っているのが、今世界で最も勢いのあるヘッジファンドの1つであるシタデルの創業者ケン・グリフィン氏です。ケン・グリフィン氏はNYで最も価格の高い2億ドル(約205億円)のコンドミニアムを購入したと前々回のコラムで紹介しましたが、絵画についても3億ドル(約307億円)でクーニングの”Interchange”という作品を購入しました。

この価格は1枚の絵画として史上最高で、この作品だけでなくポロックの作品を2億ドル(約205億円)で購入するなど、カタールの王族と競う形でアートコレクションの世界をリードしています。絵画の価格ランキングでは上位の4作品を、グリフィン氏とカタールの王族が占めています。このようにアートの世界は、世界中の大富豪のステータス・シンボル合戦の様相を呈していますが、日本人でここに割って入っているのが、ゾゾタウンの創業者である前澤友作氏です。

前澤氏はモダンアートの旗手であるバスキアの作品を約62億円(購入時の為替レート)で競り落として話題となりました。今回NYのMOMAを訪れた時もバスキアの作品の前で、私たちが日本人であることが分かるとキューレターから前澤氏がバスキアの作品を買ったという話題を振られました。前澤氏が世界の著名ビリオネアの仲間入りをしたと感じました。

もちろん、こうした高額のアートだけでなく、公園など身近な場所にもたくさんのアート作品が展示されていて、NYでは気軽に芸術を楽しめます。こうしたすそ野の広さで芸術を志す若者が多く出てきて、その中から厳しいセレクションで潜り抜けたトップのアーティストが大きな富と名声を得るという、NYのアートシーンのダイナミックさは世界でも類を見ないモノであると肌で感じました。

次回はオーランドについて紹介します。

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岡村 聡 (おかむら さとし)

シンガポールで資産運用のアドバイスを行う株式会社S&S investments代表取締役。 マッキンゼー&カンパニー、アドバンテッジ・パートナーズなどを経て、2010年11月に妻と2人で同社を設立。現在、資産運用に加えて、海外移住や海外不動産投資などのコンサルティングも行っている。著書に「世界の超富裕層だけがやっているお金の習慣」(KADOKAWA/中経出版)など。

連載コラム

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岡村聡 著
 
『世界の超富裕層だけがやっているお金の習慣』
KADOKAWA 1,540円(税込)
 
日本とシンガポールで、超富裕層を対象にファミリーオフィスを経営する著者が、「本当の富裕層」から学んだ、お金を使いこなし、豊かな人生をおくる術を解き明かす一冊。

岡村聡

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