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香港 2/3 
香港の高級不動産市況

香港 不動産

前回は香港最大の富豪である李嘉誠(リ・カシン)の人生を通じて、香港という都市の発展についての概要を紹介してきました。今回は、李氏の最大のビジネスである不動産について、高級物件を中心に香港の動向を紹介します。

香港の不動産価格は、ここ20年大きく2つのサイクルがありました。最初のサイクルが1995~2003年で、このサイクルの前半の95~98年にかけて、1998年に香港が中国に復帰することを見据えて、中国本土からの流入者が増えたことに加えて、改革開放路線が奏功し中国本土の経済が急成長していることを見て、一旦香港から海外に移住していた人たちがUターンする動きも加速し、わずか3年で香港の不動産価格は平均して80%も上昇しました。

しかしこのサイクルの後半にかけて、1997年のタイ・インドネシアに端を発し、翌年にロシア、さらに99年にブラジルへと2年間にかけて世界を一周する形となった新興国通貨危機、さらには2001年のITバブル崩壊、2003年のSARS流行と悪材料が相次いで98年の初頭のピークの3分の1、95年の頭から見ても40%低い水準にまで下落しました。

2003年に底をつけた香港不動産は、中国本土の景気拡大による香港への投資拡大や新興国投資ブームによる海外投機資金の流入、さらにはリーマンショックの影響が中国本土では小さく、その後の景気刺激策で中国本土からの香港不動産への投資がさらに拡大したことを受けて、下記のグラフにあるようにここまで10年間ほぼ一本調子で上げています。2003年の底からの上げ幅は5倍近くに達しており、後述するように高級物件を中心に割高感が強まっていることから価格が調整するのではないかという懸念が高まっています。

さらに、前回のコラムで指摘したように李氏が2014年以降に中国本土で保有していた不動産のかなりの部分を売却し、英国やカナダなど欧米の不動産に投資の重点をシフトしたことから、投資家たちの不安感は高まっています。実際に、昨年半ばや今年の頭に中国本土で株価が急落したことから、李氏は中国本土の金融市場とその後に香港不動産の下落局面が来ると予測していたと話題になっています。

岡村聡

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