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他人に対する関心が低い

妬みの感情を消せることが最大の効用

お金持ちの人は冷淡ともいわれるが、おそらく、これも他人に対する関心の低さが原因と考えられる。お金持ちの人はよい意味でも悪い意味でも個人主義者と考えてよいだろう。

問題なのは、この性格が、資産を持ったことによって身についたものなのか、もともと他人に対する関心が低い人がお金持ちになりやすいのかという点である。おそらくこれは両方だろう。

「金持ちケンカせず」という言葉があるように、資産を持ったことでこうした性格になるという面は多分にある。だが、もともと他人に対する関心が薄い人が、お金持ちになりやすいというのも事実だろう。なぜなら他人に対する関心が低いと、お金持ちへの道を邪魔する最大要因である「妬み」の感情を持たなくて済むからである。

妬みの感情は、百害あって一利無しである。この感情が強いと、成功した人を見ても、それを参考にしようといったポジティブなマインドにはならず、否定ばかりになってしまう。このような状態では、仮に何らかのチャンスが目の前に転がり込んできても、それに気付かない可能性すらある。

他人は他人、自分は自分と、しっかり峻別することで、物事を客観的に捉えることができるようになり、それが多くのチャンスをモノにする結果となる。

経済的に成功した人の多くが、成功の秘訣として「他人に対する妬みを持たないこと」と発言している事実を考えると、これは経済的成功を勝ち取るための、本質的な法則の一つといってよいかもしれない。

時間という貴重な資源を有効活用できる面も大きい。他人への関心が高すぎると、1日のうちの大半を他人との関係に費やしてしまう。これは非常にもったいないことである。1日24時間というのは、平等に与えられたものだが、逆に言えば、この資源をどれだけ有効に使うことができたのかによって、得られる成果は変わってくる。

他人との無駄な関わりを最小限にとどめ、自分自身の仕事に集中すれば、人よりも高い成果が得られるのは、ある意味で当然の結果である。お金持ちは他人に対して無関心というこの研究結果は、このように捉えるのが正しい作法だろう。

*この記事は2017年7月に掲載されたものです

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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