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時にケチといわれる理由

富裕層は食事代をケチらない

この違いは日常生活にも表れる。飲み会や食事に行った時に、やたら細かく割り勘の計算をするタイプの人をしばしば見かけるが、富裕層と呼ばれる人々の中に、こうした人はほとんどといってよいほど見当たらない。富裕層は人におごりたがる人が圧倒的に多いのだ。

もちろん、お金を持っていることを見せびらかしたいという欲望もあるだろう。だがそれだけではない。多くのお金持ちにとって食事や飲み会は投資なのだ。

親のお金を相続するのではなく、ゼロからお金持ちになるためには、投資や事業など何らかのリスクを取る必要がある。食事や飲み会では意外と重要な情報が得られることが多い。接待など仕事に直結していない会合の方が、変な打算がないのでなおさらなのだ。だからお金持ちは食事を重視する。

筆者の知人は、一生懸命貯めたお金を頭金にローンを組んでアパートの1棟買いをした。その後次々に物件を購入し今ではかなりの大家さんとなっている。

アパート経営をするにあたって、知人友人のツテをたどり、飲み会を何回も企画したという。その中で、実家や親類が土地持ちでアパートなどを経営している人をそれとなく聞きだし、その後は直接アポを取ってアパート所有者十数人から一気に話を聞いた。

突然アパート経営の実態を聞かせて欲しいという依頼に多くの人が驚いたらしいが、熱心に口説いたところ多くの人が会って食事をすることをOKしてくれたという。しかも、多くの大家さんが直接競合になるわけでないと考えたのか、細かい利益の数字までかなりオープンに話を聞かせてくれたというから驚きだ。

食事代には何十万円も使ったそうだが、貴重な情報を手にれることを考えれば安いものである。情報が持つ価値を理解していれば、それを得るための食事代などまったく躊躇しない。こうした合理的な思考回路が、資産形成につながっていることは間違いない。

加谷珪一

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