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銀行系クレジットカード 1/3

ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントの付加価値を見出す本連載。8月は、銀行系のクレジットカードに焦点を当ててみよう。

エンリッチ 銀行系カード1

エンリッチ読者の皆さん、ポイ探の菊地崇仁です。前回は、空港ラウンジ利用で便利なクレジットカードを中心にお話をしました。すでに8月とうことで、実際にお使いの方もいるかもしれません。カードに付帯する特典は意外と見過ごしがしですから、うまく使いこなしたいものです。

スーパーで預金を引き出せる
日がやってくる?

少し前ですが、気なるニュースがありました。それは、スーパーなどのレジで、キャッシュカードを使い口座から預金を引き出せるようになるという内容。金融庁が規制緩和を行い、みずほ銀行などは、2017年にもサービスを始める準備をしているそうです。一部宅配会社も対応するようなので、ATMに足を運ぶのが大変な高齢者を中心に、便利なサービスではないでしょうか。

スーパーの場合、利用者がレジで店員に金額を指定し、ボタンで暗証番号を入力すれば、レジから現金を受け取るという仕組み。現時点で利用者の手数料は無料の見通しですから、買い物ついでに手軽かつコスト負担がなく現金が引き出せます。

このサービスが便利なのは、わざわざATMに行かなくてすむということです。とりわけビジネスパーソンであれば、昼休みや夕方に殺到し、長蛇の列になることも珍しくありません。これはあまりにも時間のムダで、賢いライフスタイルとはいいがたいでしょう。こういったサービスはどんどん普及してほしいと思います。

銀行×クレジットカードで
手間と労力とコストがカットできる

先ほど申し上げた通り、大手都銀を中心にATMは混雑になることが多く、多忙な人ほど、行列に並ぶことは避けたいはず。その解決策のひとつがクレジットカードであることは明白です。わざわざ現金で支払うよりもカードを使ったほうが手軽ですし、ポイントが貯まるという特典も得られます。

しかしながら、どうしてもキャッシュが必要な場面があることも事実。そこでお勧めなのが、ネットバンクの活用です。コンビ二ATMで入出金できることがほとんどで、大手都銀のATMほど込まないのが利点で、一定の条件を満たせばATM手数料や振込手数料が無料になります。私自身も普段はネットバンクをメインに使っていますし、子どもの塾の月謝など、細かですが毎月必ず発生する振り込みのコストがなくなりますから重宝するほど。
一部ネットバンクでは、自行が発行するクレジットカードと組わせることで、独自の特典を付与するケースもあるようです。ここでは一例を紹介しましょう。

■住信SBIネット銀行

住信SBIネット銀行といえば、ネットバンク大手。利用可能ATMがイオン銀行、セブン銀行、ゆうちょ銀行といった大手他行だけではなく、全国1万3000以上のコンビニやスーパーに設置されているイーネットATM、ローソンATM、JR東日本のビューアルッテと、幅広いのが特徴です(利用可能取引や利用時間はそれぞれ異なる)。

そんな同行は、商品・サービスの利用に応じてポイントが貯まったり、ランク制度による様々な優遇が受けられる「スマートプログラム」を実施しています。ランクは1~4まで4段階で、ランクに応じて提携ATMを使った引き出し手数料が月2回(ランク1)~月15回(ランク4)、他行への振込手数料が月1回(ランク1)~月15回(ランク4)が無料になり、ランク4に至っては、現金に交換できるポイントが50ポイントも付与されます。

気になるランク判定ですが、ランク1は口座を開いた時点で適用され、ランク2以上は、総預金の月末残高や外貨預金、仕組金、SBIハイブリッド貯金の月末残高の有無、各種ローンの利用、給与・賞与または年金の入金などで決まるという仕組み。ランク4は「外貨預金と仕組預金の月末残高合計500万円以上、あるいは同条件が300万円以上かる住宅ローンを利用」と、ややまとまった資金を口座に入れる必要がありますが、それほど厳しい条件でもありません。

さらに、ランクアップにひと役買うのが、SBIカードのホルダーになることです。同カードを契約のうえ、同行を振替口座に指定すると、カード券種に応じて最大2ランク、ランクアップするという特典が付与されます。ランク判定は次の通りです。

▼ SBIレギュラーカード:プラス1ランク
▼ SBIワールドカード、SBIプラチナカード、SBIゴールドカード:プラス2ランク

つまり、SBIカードを持つだけでランク2~3は確実に適用されるということ。レギュラーカードであれば年会費は初年度無料、次年度以降は900円(税抜)ですが、年間10万円以上の利用で無料、ゴールドカードも年会費は2500円(税抜)とリーズナブルで、年間100万円以上を利用すれば無料になります。プラチナカードは年会費2万円(税抜)ですが、プレミアム系カードではお馴染みのコンシェルジュサービス、世界500カ所以上の空港ラウンジを専用カード発行なしで利用できる「ラウンジ・キー」を標準装備など、付帯特典は豊富です。メインカードが別にあるなら、コスパに優れたゴールドカードを持つというのが得策だと思います。

いずれにしても、条件を満たせば最大で月15回もATM引き出し手数料、他行への振込手数料が無料になりますから、これは非常に付加価値の高いサービス。それこそ、お子さんの習い事や場合によっては賃貸の支払いでムダなコスト負担を避けることができます。ネットバンクと聞くと「格下の銀行」と思う人もいるようですが、まったくの誤解。いまや、ローコストで使うことのできる、金融インフラとしてその地位を確立しているのです。

ーーーATMに並ぶ時間、各種手数料は、積み重なると大きな負担になりかねない。ネットバンクの利用は、これらを解消するのに役立ちそうだ。

菊地宗仁_300

菊地 崇仁 (きくち たかひと)

株式会社ポイ探 代表取締役。大学卒業後、日本電信電話株式会社(現NTT東日本)入社。システム開発に携わる。2002年の同社を退社後、友人と共に起業。ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年代表取締役に就任。現在All About、カカクコム、ECZine、日経トレンディネットへ記事を提供する他、テレビ・雑誌でも活躍中。著書に「新かんたんポイント&カード生活 (自由国民社)」、「できるAmazonスタート→活用 完全ガイド(インプレス)」他。

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