アートと真摯に向き合うためにギャラリストがすべきこと
E:川井徳寛というと、伝統的な宗教画のなかにリアルな猫を登場させる作風が印象的な作家というイメージがありました。
玉屋:昔から猫自体は描いていたのですが、最初からこのスタイルではなかったですね。お付き合いをはじめて十何年間、実は僕自身が彼の作品に対して若干の違和感がありました。彼の作品はこのままでも売れているけれど、もっと違う形になるのではないかなと。それを初めて彼に話したのは4年前くらいでした。

E:10年以上思いを内に秘めていた理由はあるのでしょうか。
玉屋:彼は芸大出身で幼い頃からアートと向き合っており、アートに対する知見のレベルが僕とは雲泥の差でした。なので迂闊なことを口にできないなと思っていて。彼と話すために勉強を重ねて、ようやく話せるようになったのが4年前ですね。
でも彼の凄いところは、絵描きでもないギャラリストの失礼な意見に耳を傾ける、なかなかできませんよね。
E:玉屋さんのアートに対する真摯な向き合い方を感じます。
玉屋:話すときには、以前アーティストだったうちのスタッフに仲介に入ってもらいました。僕の話だけだと、表面的だったり、的外れな内容になる可能性があったので、スタッフに「この質問って間違えていないかな?」とすべて確認しながら、通訳を挟むような感じで対話するよう気を付けましたね。
ミーティングを丁寧に重ねたこと、同じく専属作家である野口哲哉氏との交流を通して、彼の作品に向き合う姿勢や作品のスタイルも少しずつ変わっていったように感じます。
E:野口さんと川井さんは、同じギャラリーの専属作家として、交流の機会も多かったのですね。
玉屋:そうですね。2人で1度、コラボレーション作品を創ってもらったこともありました。そこで彼らが作品について話し合っているメールを拝見したのですが、内容がすごくて。
「アトリビュートの交換 二連画」


「こんなことまで考えて絵を描いているんだ」と驚きを感じました。「お互いの根源(中世ヨーロッパ)、光の当たり方、構図、空気がどこに抜ければよいか」だとか、そういうことを徹底的に話し合っていたんですよね。お互いにとって良い経験になったし、刺激を感じたと制作を終えた後聞き、ホッとしました。
E:ちなみに、仲介として第三者を挟んでコミュニケーションを取る方法は他の方にも取り入れているのでしょうか?
玉屋:最近は他の作家と話すときも必ずそうしています。自分が思っていることを衝動的に口にするのは作家にとって良くないと思っているので、そこはかなり気を配っています。
E:GYOKUEIは専属作家の数を絞っているという印象がありますが、今後作家の数を増やす予定はあるのでしょうか?
玉屋:自分が抱えきれる人数を考えると絞られてくるというのはあるのですが、今後1名新しい女性作家が加わる予定です。彼女が持ち込んだ作品を見て、数年ぶりにすごく好きだなと思ってオファーしました。これから展覧会を開こうと計画中です。








