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成功者があまり使わない言葉とは?

安全なら安心に決まっている

近年、やたらと目につくの言葉は、やはり「安心・安全」だろう。成功者からすると、この言葉は矛盾だらけであり、到底、積極的に使う気にはなれない。成功者でこの言葉を使っている人の多くは、周囲の人をあえて共感させるという意図的なものではないだろうか。

そもそも物理的に安全であれば、安心に決まっているので、安心という言葉が先に来る理由がない。むしろ安心という定義がはっきりしない言葉を使うことで、安全であることが担保されないリスクも生じてくる。

近年、企業におけるネット上の問い合わせ対応などを見ても、「大変な思いをされましたね」「さぞご心配だったことだったでしょう」と表面上、相手に寄り添う言葉ばかりが並び、利用者が必要としている重要な情報がほとんど提供されないケースが目立つ。表面的な安心ばかり求めていると、本当の意味での安全が担保されない典型的なケースといってよいだろう。

さらに言えば、安心・安全は成功からはもっともほど遠い概念であるともいえる。

わざわざ危険なことをするのは愚の骨頂だが、ビジネスや投資にはリスクがつきものである。リスクがあるからこそ、そこにはリターンが存在するので、いかにリスクをコントロールするのかがビジネスや投資の成否を分ける。安心ばかり考えていては、チャンスを生かすことなど到底不可能だろう。

最後にもうひとつ。成功者がもっとも使わないのは「やりがい」である。

成功するビジネスや投資というのはほぼ100%社会的な意義があり、成功しているということは、それ自体が社会貢献である。したがって、わざわざ心を奮い立たせてやりがいを強調する必要はない。

やりがいを否定しているわけではないが、本来はあまり望んでいないのに、無理にそれを続ける理由として「やりがい」をあげているのなら、あまりヘルシーな状況とはいえない。自然とやりがいが出てくるようでなければ、ビジネスとしては合格点にはならないだろう。

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

連載コラム

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「日本は小国になるが、それは絶望ではない」
KADOKAWA
単行本 1,430円
 
国際競争力の低下と少子高齢化が進む日本の未来とは?

将来の日本は小国になると予想し、小国になることは日本再生のチャンスであると唱える気鋭の経済評論家が、戦後最大の転換期を迎えた日本の新しい国家像を紐解く一冊。


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