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自身に対する過大評価は、確実にお金を遠ざける

「ちょっと待てよ」がお金を呼び込む

実際にお金を持ってみると分かるのだが、お金がない時に想像していたお金持ちの実像と現実の生活にはかなりのギャップがある。だがステレオタイプなお金持ちのイメージに凝り固まってしまうと、お金持ちの世界に対する純粋な好奇心すら抑制してしまう。

日本社会はお金をタブー視する傾向が強いので、多くの人が子供時代から「お金を持っても不幸になるだけだ」と聞かされて育つ。ここで、「本当のところお金持ちの生活はどのようなものなのだろうか?」という好奇心を持つことができるのかどうかで、その後の人生は大きく変わる。

経済的に成功できる人は、周囲が当たり前だと思っていることについても、「ちょっと待てよ」と立ち止まる謙虚さ持っている。多くの場合、これがチャンスとなってビジネスや投資を成功に導くことになる。謙虚さというと、へり下って、ペコペコ頭を下げるといった卑屈なイメージを持つ人も多いかもしれないが、ここで言うところの謙虚さは意味が違う。

謙虚という意味を、単に卑屈として捉えてしまった人はすでに思考停止してしまっている可能性がある。言葉の定義についても、自分が勝手に解釈し、イメージを固定してしまっていることがあるので要注意だ。

先ほどの「自分はそれほどお金が欲しいとは思わない」という話だが、たいていの人にはあてはまらない。実際にお金を持ってみると、お金があってよかったと思えることの方が圧倒的に多いからだ。もしお金がそれほど欲しいと思わないと本気で思うのであれば、一度、本気でお金持ちになってみるとよいだろう。自身の価値観がいかに根拠のないものであったかが分かるはずだ。

少々、厳しい言い方になってしまったが、こうした思い込みや感情による心のバリアは、人間の経済活動にとって大きな障害となる。一方で、既存の常識や価値観から自由になると、多くのことが見えてくる。

自分の感情によって判断が左右されないので、ビジネスや投資で成功する確率も上がってくるだろう。こうした積み重ねが最終的に大きな富をもらしてくれるのだ。

*この記事は2017年11月に掲載されたものです

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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