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至高のドライビングカー、ベントレーの世界

エンリッチ特集_至高のベントレー_記事内 (2)

ベントレー。エンリッチでも度々紹介している世界最高レベルのプレミアム・ラグジュアリーカーである。エクステリア、インテリア共に贅が尽くされ、芸術品とまで称されるそのクオリティの高さには疑う余地がない。このベントレーというクルマに興味を抱いているエンリッチ読者諸兄も少なくないだろう。

ただベントレーがドライバーズ・カー、つまり「運転して愉しいクルマ」であることは、意外に知られていないかもしれない。2ドアクーペやコンバーチブルなどのラインアップでは、そのフォルムからスポーティな走りを予感させてくれるが、4ドアのラージサイズボディのミュルザンヌやフライングスパーなどは、その風格が故に、ショーファーにドライブをまかせ、リアシートでゆったりと移動する、という印象が強いのではないだろうか。

もちろんそれは間違ってはいない。ただそれだけではないのだ。ベントレーは、4ドアモデルであっても、実は卓越した走行性能を持つ、究極とも言えるドライバーズ・カーなのである。洗練され尽くした魅惑的なボディの内側には、実に堅牢な骨格と、果てしなく力強い心臓が、密やかに佇んでいる。それらが動き出したとき、最高のドライビング・プレジャーを与えてくれるのだ。

今回、そんなベントレーの4ドアモデルの中から2台、「ミュルザンヌ」と「フライングスパーW12」を、ドライバーとして、またパッセンジャーとしての両面からのインプレッションを紹介したい。

出発は、ベントレーとのグローバルパートナーシップを結んでいるスターウッドホテル&リゾートグループのラグジュアリーホテル、「セントレジスホテル大阪」。ここから、京都・嵐山〜嵯峨野の往復を、今回の試乗コースとした。

ビジュアル・アイデンティティ 何者にも似ていない

ベントレー セントレジス大阪にて

ベントレーのその姿は、一目でベントレーであることがわかる。スリーポインテッド・スターやキドニー・グリルのような、大きくて象徴的なアイコンはないが、どこから見ても目を引くそのフォルムは、堂々と自身がベントレーであることを主張している。独創的で妖艶ともいえるその姿は、余計なブランディング・ファクターなどは必要ないのだろう。

昨今、どこかで見たような、何かに似ているような、そんなデザインのクルマが国内外でも増えている気がするが、ベントレーは他の何にも似ていない。直線と曲線、膨らみと縊れが作り出すデザインは、見れば見るほどそのデザイン性の高さと、造形に仕立て上げる技術力に感心させられる。高度なデザインと緻密な技巧は、フロントグリルからドアノブに至るパーツ類にまで徹底され、それらはまるで美しいボディを引き立てるジュエリーのように思えてくるほどだ。

流れるようなミュルザンヌのリアビュー
流れるようなミュルザンヌのリアビュー
スポーティなフライングスパーのサイドビュー
スポーティなフライングスパーのサイドビュー

美しさと機能が調和する空間、ドライバーズシート

ドアノブカップに映り込む、美しいローレット加工がなされたドア・ハンドルに手をかける。これが、これからベントレーの世界へと入り込む最初の瞬間である。ドアは重厚さを感じさせつつもスムーズに動き、優しくドライバーを迎えてくれる。この感触が、これから始まる至高の時間を予感させてくれる。

ミュルザンヌのコックピット
ミュルザンヌのコックピット

ドアを開け、ドライバーズシートへ。柔らかすぎないシートは、程よいホールド感があり、安心して身体を預けられる。きめ細かく調整可能なシートのセッティングは、どんな体型のドライバーにもアジャストすることだろう。

目の前には、レザー、ウッド、メタル類など、最高級のマテリアルを、最高レベルのクラフトマンシップによって完成されたコックピットが広がる。その中に機能的にレイアウトされたメーターやコントローラーは、ドライバーとしての心を弾ませてくれる。

コンソールにはナビゲーションやオーディオをはじめ、様々な機能へアクセスするためのインターフェースが凝縮。最初は少しとまどうかもしれないが、これらの操作と機能に慣れるにはそう時間は必要ないであろう。高級と自賛している国内外のクルマでも、ダッシュボード周辺のプラスチック感にがっかりさせられることは意外に多い。しかしベントレーにそれは皆無。パネルやスイッチひとつひとつにも、クラフトマンの息遣いを感じさせ、まさに「機能美」という言葉がふさわしく思える。このインターフェースを通じて、どんな機能があるのか、それを理解していく過程も、また愉しいものである。

技巧が施されたセンターコンソール(ミュルザンヌ)
技巧が施されたセンターコンソール(ミュルザンヌ)

エンリッチ編集部

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