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プレミアム系クレジットカードの新サービス 3/3

ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今回は、JCBによるビジネスカードの取り組みについてピックアップする。(1/3から読む)−−−

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部署名義のコーポレートカードを発行
人事異動に伴う新規発行などが不要に

交通チケットの手配や備品の発注など、現在は業務に関する決済がオンラインでできるようになり、ビジネスとクレジットカードの結びつきが強くなっています。コーポレートカードを持つ企業も少なくないでしょうが、個人名義の場合は人事異動により新規発行・退会手続きが生じるので、手間がかかります。

こうした課題を解消するため、JCBは7月から部署名義のコーポレートカードを発行すると発表しました。個人名義が前提の「JCBコーポレートカード」と異なり、部署内でのカードの共有が可能で、突発的に発生する支払いにも対応が可能になり、企業の経費業務の効率化・キャッシュレス化に貢献します。なにより、部署名義にすることでカードを継続して利用することができ、管理の手間が削減されます。

ビジネス関連の決済について、JCBは今年2月からB2B決済サービス「請求書カード払い」も始めています。これは、受け取った請求書の支払いをJCBカードで決済することができる法人向けのサービスで、支払いを振込みからカード払いにすることで、業務の効率化や椎原行減の先延ばしができるというもの。取引先がカード払いに対応していなくても利用できます。同様のサービスは他社も提供していますが、JCBの場合は手数料が2.98%と最安水準を謡っています。

4月には同サービスの利用範囲を個人事業主やフリーランスにも拡大し、支払日を従来の月3回から最短営業日にも拡大しました。これらの方がどれだけ請求書払いのニーズがあるかわかりませんが、資金繰りに不安があり、銀行振り込みの現金準備や手数料の負担に悩む人にとって朗報でしょうし、カードのポイントがたまるのもメリットかもしれません。

少子高齢化が進むなか、個人向けのクレジットカードはいずれ頭打ちを迎えます。カード会社は法人需要を開拓したい考えがあり、JCBがこういった取り組みを始めるのは自然な流れでしょうし、カード会社全体に広がっていくかもしれません。

こういったサービスが拡大する背景には、銀行手数料の引き上げも関係しています。例えば、三菱UFJ銀行は10月2日から店頭窓口・ATM手数料を改定し、店頭における他行あての振込みは現在の594円~770円から990円、ATMでは同374円~550円から880円、カードは同209円~330円が275円になります。同行間の振込み手数料も、店頭が現在の330円~550円から880円、ATMが同220円~440円が550円、ATMのカード振り込みは0円なのが110円になります。

銀行としては管理などの手間・コストがかかる店頭・ATMよりインターネットバンキングの利用を促したく、実際のところ同行でもオンラインでは他行宛て振込み手数料や「ことら送金サービス」による個人間送金の無料(10万円以下)など、デジタル化を推し進めています。こういった事情は銀行業界全体に共通しているので、他行も追随する可能性は低くないでしょう。企業に限らず個人にとっても、振込み手数料の負担は決して軽くありません。インターネットバンキングの利用やクレジットカードを軸としたキャッスレス化は、ますます加速していくと思います。

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菊地 崇仁 (きくち たかひと)

株式会社ポイ探 代表取締役。大学卒業後、日本電信電話株式会社(現NTT東日本)入社。システム開発に携わる。2002年の同社を退社後、友人と共に起業。ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年代表取締役に就任。現在All About、カカクコム、ECZine、日経トレンディネットへ記事を提供する他、テレビ・雑誌でも活躍中。著書に「新かんたんポイント&カード生活 (自由国民社)」、「できるAmazonスタート→活用 完全ガイド(インプレス)」他。

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