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加速する、メルセデスのSUVストラテジー

さて、GLEとGLEクーペだが、このクルマの特徴はあらゆるパワーユニットを用意していることだ。複数のガソリンエンジンはもちろんのこと、2つのディーゼルエンジンとプラグインハイブリッドを有する。

これはあらゆるマーケットに対応するためで、排ガス規制やユーザーの使われ方に適したものを投入する目的で用意された。日本へは、V6のガソリンとディーゼル、それとAMGのハイパフォーマンスモデルが輸入される予定となる。これはML時代のデータに基づくそうだ。

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そんな中試乗したGLE500eはユニークなものだった。

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3リッターV6とモーターを融合させたハイブリッド車で、街中から高速道路まで力強くかつ快適に走りまわった。それでいて30キロ近くまでモーターのみ、つまり電気自動車として走らすことができるのもよし。このサイズのクルマでは珍しくEVモードがよく似合う一台である。

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スタイリングは、GLEはこれまでのML同様堂々としていて、メルセデスのSUVらしさを感じさせる。まさに“SUVの王道”といった立ち位置といえそうだ。

これに対しGLEクーペは、“イマドキ”感を前面に出す。どちらかといえば、CLS/CLAシューティングブレークやAMG GTのラインで、新世代メルセデスのテイストを色濃くする。

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いまやメルセデスは総合自動車メーカー。パワートレーンはもちろん、サイズもカタチもフルラインナップを揃える。しかも、隙間を埋めるニッチモデルをも含めて、だ。

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事実、GLEクーペのテールランプはAMG GTによく似ている。横長のLEDランプがクールな表情をつくりだす。その意味からすると、GLEクーペはAMG“ロクサン”がイメージにピッタリかもしれない。背が高くてもやんちゃな走りと雰囲気を漂わせる。ライバルはずばりポルシェ・カイエンターボあたりだろうか……。

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といった感じのGLE&GLEクーペ。メルセデスのSUVというとGヴァーゲンの印象が強いが、あちらは別モノ。

個人的に所有していたこともあるが、快適性や走行性能を求める上では正直少々厳しいものがある。スタイルで乗るクルマだ。なので、その経験を含めても今回のGLE&GLEクーペは魅力的に思えた。

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日本導入はGLEが今秋、GLEクーペは2016年早々というスケジュールだそうだ。ディーゼルエンジン車をメインに、ボルボXC90とのガチンコ対決は見ものである。

九島辰也

九島 辰也 (くしまたつや)

モータージャーナリスト兼コラムニスト/ 日本カーオブザイヤー選考委員。「Car EX(世界文化社)」「アメリカンSUV/ヨーロピアンSUV&WAGON(エイ出版社)」編集長「LEON(主婦と生活社)」副編集長を経て、現在はモータージャーナリスト活動を中心に様々なジャンルで活躍。2015年からアリタリア航空機内誌日本語版編集長、2016年から「MADURO(RR)」総編集長もつとめる。

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