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The Style Concierge

海外発行のプレミアム系カード 2/3

ブラック・プレミアムクラスを中心に、ポイ探の菊地崇仁氏が、クレジットカードの隠された使い方や機能を探っていく本企画。前回は、新たに登場したカードを紹介したが、今回は大手百貨店が取り組む、共通ポイントとのタッグについて触れよう。

エンリッチ プレミアムカード2

大手百貨店が、共通ポイントと
提携を加速させるワケとは?

新たな展開としては、ともに顧客を増やしたい、大手百貨店と共通ポイントの業務提携も目立ちます。

そのひとつが、NTTドコモと高島屋による業務提携です。共同で新たなサービスを提供すると1月に発表しました。具体的に、4月からは高島屋の買い物でdカードを決済に使うと、100円=2ポイントのdポイントが付与され、8月をめどに、高島屋の買い物でドコモのdポイントカード、もしくはdカードを“提示”するだけで、dポイントが付与されるようにも。買い物1回、100円につきdポイントが1ポイント貯まり、これは高島屋での決済にも利用できます。

一方、4月利用分から、ドコモの通信料金などをタカシマヤカードで決済すると、タカシマヤポイントが通常の2倍付与。通常は、200円1ポイントなのが、200円ごとに2ポイント貯まります。

対して、三越伊勢丹はTポイントを導入する予定で、今春より、三越伊勢丹の国内百貨店で買い物をするとTポイントが貯まり、かつ利用できるようになります。さらに、三越伊勢丹のエムアイカードは、これまで前年の年間買い物額に応じて、次年度の買い物金額から基本5%~10%の幅で割引優待を実施していましたが、4月からはこれをリニューアルして、新たに「エムアイポイント」のサービスを開始。カード決済でポイントを付与すると同時に、このポイントは、ANAとJALマイルの両方にそれぞれ交換できるようになるとも。上期中には、JTBトラベルポイントへの移行にも対応する予定で、旅行系のサービスを充実させる狙いです。

また、大丸・松坂屋ではすでに楽天ポイントカードを導入していて、同じく、買い物や決済で楽天スーパーポイントが付与・利用できますから、これにより、大手百貨店は何らかの共通ポイントと手を組んだことになります。いままで、百貨店といえば上級顧客に「お帳場カード」を発行して収益の多くを確保していて、売上の8割はお得意様によるものだったそうです。ところが今後は、共通ポイントと提携することで、一般層やミドルクラスも顧客にしたいということでしょうか。

デベロッパーと提携するケースも!

このような施策は他でも行われていて、三越伊勢丹は、野村不動産とクレジットカード分野で提携すると昨年に公表しています。今年秋をめどに、野村不動産の分譲マンション「PROUD」の購入者へ、エムアイカードとの提携カードを発行し、何らかの優遇サービスが提供される見通しです。両者の顧客は重なる部分も多く、相乗効果が見込めます。

似たようなサービスは、三井不動産と三井住友VISAカードの間ですでに実施していて、三井不動産系の住居に住む人を対象に、家事代行やハウスクリーニングなどのサービスを提供する会員制サイト「三井のすまいLOOP」では、ユーザー向けに「三井のすまいLOOP VISAカード」を発行。ホルダー向けにアウトレットのスペシャルクーポンを届けたり、管理費や駐車(輪)使用料、修繕積立金の支払いに同カードを使うと、決済ポイントを付与するなど、独自のサービスを提供しています。

 
ーーーこのように、あらゆるジャンルでカード各社は異業種との提携を進め、ホルダー獲得に取り組んでいる。知らないことで、得られる付加価値を見逃してしまうこともあるのでは?

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菊地 崇仁 (きくち たかひと)

株式会社ポイ探 代表取締役。大学卒業後、日本電信電話株式会社(現NTT東日本)入社。システム開発に携わる。2002年の同社を退社後、友人と共に起業。ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年代表取締役に就任。現在All About、カカクコム、ECZine、日経トレンディネットへ記事を提供する他、テレビ・雑誌でも活躍中。著書に「新かんたんポイント&カード生活 (自由国民社)」、「できるAmazonスタート→活用 完全ガイド(インプレス)」他。

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