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食べないリッチが増えている理由

睡眠も状況に合わせてコントロール

食事と共に睡眠を上手にコントロールするお金持ちも多い。一般に年収が高い人ほど、仕事中毒になっているイメージがあるが、実際はそうでもない。

総務省が行っている社会生活基本調査を見ると、週休2日と仮定した場合の1日あたりの平均労働時間は、年収250万円の人は約9.6時間だが、年収が400万円台の人は10.3時間となっている。

ここまでは、年収と労働時間は比例しているわけだが、さらに年収が上がってくると、状況が変わってくる。年収700万円台では10.0時間に、900万円台では9.8時間となり、1500万円以上では9.4時間まで減少する。

年収が高い人は、管理業務的な仕事をしている可能性が高く、労働時間が直接成果に関係していないと考えられる。さらに1500万円以上ということになると、経営など意思決定を仕事にする人の割合がさらに高まってくるため、これが労働時間の減少につながっている可能性が高い。

食事と同様、若いときは不眠不休でハードワークをこなしつつも、資産の形成と加齢に合わせて睡眠時間もコントロールした方がよいということになる。

寝具メーカーが発表した世界の成功者たちの睡眠時間調査によると、7時間以上の睡眠を取っているケースが多いという。例えばマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は、毎晩12時に寝て、7時間の睡眠を確保しているそうである。

ただ、ゲイツ氏が現役時代に同じような睡眠をしていたとはとても考えられない。実際、ゲイツ氏が現役の頃、会社に泊まり込みで仕事をするのはごく当たり前だった。同じ調査には、ヤフー前CEOのマリッサ・メイヤー氏の睡眠時間も出ているが、彼女は12時に寝て、4時に起きていたので4時間睡眠である。

やはりハードワークで稼ぎを優先するスタイルから、徐々に睡眠を確保し、判断力を重視するスタイルに変えていくのが望ましいといえるだろう。こうしたロードマップを考えることもお金持ちになるための要素といってよい。

*この記事は2017年07月に掲載されたものです

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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