観光客数もクルーズ船も制限
統計データを見ると、私たちが訪れた24年のタイミングでは1日に島の人口を上回る1.7万人もの観光客が訪れる日もあったようです。前述した混雑ぶりも当然の数字ですが、あまりの観光の過熱ぶりにローカルコミュニティからは反発も強く、25年以降はこの島を訪れる観光客のほとんどを占める大型クルーズ船による訪問数を1日8,000人までに制限されることになりました。この数字はエーゲ大学の調査により、サントリーニ島が持続可能な形で受け入れられる観光客数の上限値に基づいて設定されています。

また、サントリーニ島では25年の初頭に地震が何千回と頻発して、観光客はもちろん、一時は住人の一部も近隣の島々に移住するところまでいったこともあったために、25年の夏は前年から比べて大幅に混雑が解消したようです。これにより、特に世界一とされるサンセットのタイミングでは眺めの良い道路がほぼ動けなくなっているほどの混雑だったのもほぼ解消されたと報告されています。
幸いにも地震は完全に終息したために、一気に観光客が戻ってくる今年の夏休みこそこの規制の効果がどこまであるのか試されます。そして、そのタイミングに合わせる形で、混雑緩和に貢献すると見られている大型プロジェクトも、26年4月にスタートしています。
それは私たちも利用した大型クルーズ船の運航で世界最大手のロイヤルカリビアン社がサントリーニ島に完成させた巨大なビーチクラブです。米国企業が巨大な施設を完成させたと聞くとオーバーツーリズムを加速させるという印象を持つかもしれませんが、そうならないようにいろいろと配慮がされています。
まず、この施設はヴリハダという島南部にあるビーチ沿いにすでにある施設を改修して作られ、島特有の火山岩が砕けた粗い砂からなる黒い色のビーチと島特有の白い壁の家々というコントラストの効いた色彩の素晴らしいビューが楽しめるようです。
また、こうしたクルーズ会社のビーチクラブというと、カリブ海の島々を丸ごと巨大なウォーターパークに改修した事例を思い浮かべる方もいるでしょうが、ここでは環境への配慮を最優先としてウォーターパークどころかプール一つありません。美しい光景と海をゆっくり楽しめるように屋根付きのビーチテントやソファがたくさん用意され、DJによる心地よい音楽と、食べ物だけではなくソフトドリンクやビールにハウスワインまで取り放題のビュッフェサービスが売りとなっています。
そして、このビーチクラブと前述した人気のイアやフィラといった村を組み合わせた1日ツアーをクルーズ船の顧客に提供することで、午前午後で混雑しやすい村を訪れるグループを分散させ、村以外は数時間こちらのビーチクラブで楽しめるという形にすることで、オーバーツーリズムの解消に資するということで、ローカルコミュニティからも営業が認められたという経緯です。
地中海にはほかにも行きたい場所がたくさんあるので、先になるかもしれませんがサントリーニ島を再訪したタイミングではこのビーチクラブと人気の村々をともに訪れて、オーバーツーリズム対策として機能しているかを見たいと思います。
『世界の超富裕層だけがやっているお金の習慣』
KADOKAWA 1,540円(税込)
日本とシンガポールで、超富裕層を対象にファミリーオフィスを経営する著者が、「本当の富裕層」から学んだ、お金を使いこなし、豊かな人生をおくる術を解き明かす一冊。









