美術館も作品の一部だからこそ、0から建設することに意義がある

E:通常のアート作品の場合、既存の美術館やギャラリーに展示することがほとんどかと思いますが、アーティストとして全く新しい美術館を0から建設しようと考えた理由を教えてください。
宮島:「東北の海の見える場所」で風景と共に作品を観るというのが今回の作品の大きな特徴だったので、その条件に一致する場所を見つけ、海を臨む美術館を建てることが一番重要でした。ただのホワイトキューブの空間ではなく、風や光の入り方によっていろいろな表情を見せてくれる、そんな場所に作品を展示したいなと。
E:理想の場所を探すのに2年ほどかかったそうですね。 「時の海 東北 美術館」の建設地を福島県・富岡町に決めた理由は何だったのでしょうか?
宮島:震災の被害の受けた沿岸部を条件に探していたのですが、海の見える場所はたくさんあるものの、自分が思い描いた土地が長らく見つからなかったんです。富岡町は、海と山を臨む豊かな自然環境とサウンドスケープのグラデーションが美しく、私が探していた条件に合致しました。

E:風景と共に作品を観ることを大切にされているとのこと、「時の海 東北 美術館」の展示レイアウトのこだわりを教えてください。
宮島:海に向かって開かれた窓の手前に作品を設置することで 観客が海の風景と一緒に作品を観ることができるようにこだわっています。
E:建設予定地の周辺に、現在人は居住しているのでしょうか?
宮島:震災前、富岡町の人口は16,000人ほどでしたが、原発事故の影響で全町村避難の対象となり、何年も帰ってこられない住民が多数いました。学校や仕事の都合でなかなか故郷に戻ることが難しい人も多く、現在の居住者は2,700人ほどです。美術館建設をきっかけに富岡町にまた人が集まり、戻ってくると良いなと思っています。








