ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

海外不動産投資の資金調達スキーム 3/4

内藤 日本の不動産に比べると、海外不動産は価値の目減りも遅いようです。

松石 モノにもより、インフレ率も異なりますが、アメリカやイギリスだと築100年の物件であっても物件価値の目減りはない場合があります。ハワイでは着実に物件価格が上昇しているほどです。日本は購入後20年もすれば建物部分の価値はほぼなくなりますから、これは大きな違いですね。言わずもがな、一部の国や地域を除くと利回りも高水準です。

内藤 いま、アメリカやイギリスの名前が出ましたが、大前提として所有権が持てる国ではないと、融資は受けられないとも聞いています。インドネシアや中国、ミャンマー、ラオスといった国々だと、このスキームだと投資できません。

松石 物件を所有できないと、融資したお金が本当にそこに使われたかどうかわからないためです。銀行はマネーロンダリングの危険性を嫌がるので、所有権があるということは当たり前の話です。また、すべからく事業融資ですから、「お金儲け」を金融機関への説明として、出し過ぎても好まれません。あくまで、長期安定的に収益を上げるという目的が求められます。ただし、法人である必要はなく、個人でも構いません。

ーーー無担保物件を所有していると、各段に始めやすいのが、このスキームだと、松石氏の解説からわかった。それでは次回、今年最後のエントリーでは引き続き注意点、さらには税金についても触れておこう。


松石滋樹(まついし・しげき)

松石滋樹公認会計士税理士事務所代表
1981年生まれ。東京大学経済学部卒業後、公認会計士2次試験合格後、新日本監査法人に入社。製造業や不動産業の一部上場企業の監査を担当するとともに、外資系ファンドが組成した不動産SPCの監査を担当した。現在は個人事務所に所属し、中小企業の会計・税務をサポートするとともに個人事業主の事業計画立案に携わっている。自身も国内・海外に不動産を保有する不動産投資家でもある。

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

連載コラム

内藤忍

Return Top