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ビジネスと投資で成功できる人はここが違う

真実は当たり前に見えるところに宿る

投資で成功した経験がない人から話を聞いて投資に取り組んだ人は、当然だが、学んだことと現実との間に大きなギャップを感じることになる。ここで、自身が置かれた状況に気付き、成功者のノウハウから学ぶというところにシフトできれば、やがて道は開かれてくる。だが、こうした気付きがないまま、間違った学習を繰り返していると、最終的には投資を諦めてしまう。株式投資は約8割の人が失敗して市場から退出すると言われているが、多くがこうした状況であると推察される。

不思議なことに、ビジネスや投資における成功法則というのは、一見すると、誰でも知っていることのように思える内容ばかりである。イケア創業者のイングヴァル・カンプラードは、ビジネスの基本は「安く仕入れて高く売ることである」という趣旨の発言をよく行っている。似たような発言をしている実業家は多いのだが、成功できない人というのは、こうした発言を聞くと、どういうわけか「そんなの当たり前だろ!」「説明になっていない」などと激高するのだ(なぜか激高する)。

投資も同じで、企業規模が大きく、5年間増収増益を実現しており、成長市場に位置する銘柄を選択するのがよいといったアドバイスを聞くと「そんなこと誰でも言える」「下らない」と一蹴してしまう。

実際にビジネスをした経験がある人にしてみれば、安く仕入れて高く売る行為を維持することがどれだけ困難なのかよく分かっているし、それを徹底することこそが、最終的には大きな成功につながるということをよく理解できるはずだ。その発言を聞いて「成功者というのはやはりスゴいものだ」と感じることはあっても、「何を言っているのだ」といった感想は持たないはずだ。

投資も同様である。上記で示された単純なルールを徹底できないことで、多くの投資家が失敗しており、逆に成功できた人は、愚直に一連の行為を積み重ねた可能性が高い。

ビジネスや投資の世界では、まだ成功していない人が、成功者の意見を一方的に批判することは、もっとも格好が悪いこととされているが、こうしたみっともない行為をしている人はかなり多い。ビジネスと投資にはやはり共通点があるということがお分かりいただけるだろう。

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

連載コラム

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加谷珪一 著
 
「日本は小国になるが、それは絶望ではない」
KADOKAWA
単行本 1,430円
 
国際競争力の低下と少子高齢化が進む日本の未来とは?

将来の日本は小国になると予想し、小国になることは日本再生のチャンスであると唱える気鋭の経済評論家が、戦後最大の転換期を迎えた日本の新しい国家像を紐解く一冊。


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