
10年ほど前から、企業家やビジネス界が注目するようになった、現代アートを「買う」選択。しかし、一口にアートと言っても作品やギャラリーの特徴は多種多様であり、「アートに興味はあるけれど、どのギャラリーが自分に合っているか分からない」と足踏みしてしまう方も多いのではないだろうか。
そこで、数多あるギャラリーのなかから、編集部がいま注目しているギャラリストをピックアップ。それぞれの個性や特徴をお届けする。
今回は、直感的に鋭いインパクトを与える作品を生み出すアーティストを扱い、新たなアートファンを獲得している「MAHO KUBOTA GALLERY」の代表をつとめる久保田真帆氏にお話を伺った。
アートを「買う」初めの一歩に訪れたいギャラリーとは?
自身の歩んだキャリアがギャラリーの特徴にも通じている

ENRICH(以下E):「MAHO KUBOTA GALLERY」で扱っている作品は、どれもインパクトがあり、鑑賞していて興味深いとつい見入ってしまうアートが多いなと感じます。
久保田:直感的にまず「面白いな」と思って入っていけるような作品を選んでいます。もちろん、コンセプトが深かったり、深堀すると面白い世界が広がっていたり、そういう作品が中心なのですが、まずはビジュアルインパクトとして多くの人が見て受け入れられやすいものを選んでいるつもりです。
これは、自分の成り立ちやキャリアが大きく影響しているのかもしれません。大学卒業後は株式会社パルコに就職したのですが、一般に開かれた世界のなかで「カッコいいな」「面白いな」と思わせて知的好奇心を引き出すというPARCO文化的なDNAが、いまも自分の中で生き続けていますね。
E:たしかに、最初に直感的な面白さや魅力を感じることは、その後の知見を深めるきっかけにも繋がりそうですね。
久保田:いろいろな意見があると思うのですが、最初に見た時の印象はとても重要な要素だと私は考えています。美しいものを見て、「良いな」と思うことには必ず理由があると思うので、そういった生命的、直感的な部分を大切にしたいなと。
まずはビジュアルから入って、それから「どうしてこの人はこういう表現にたどり着いたのかな?」と読み込みます。そこが深いと、引力とコンセプトの強さが揃っていると感じて魅力的に映りますね。
E:現在開催されている髙橋健太さんの個展「Allohistory Cultures」もとても興味深く拝見しました。
久保田:髙橋さんは30歳の若手アーティストで、日本画を学んでいた経歴を持っています。
日本画と現代アートは切り分けて考えられることが多いですが、彼の作品は、日本画の技法や岩絵具を用いて日本的なモチーフを書くのではなく、現代アートとの境界を超えて新しい可能性を探る作品を生み出している点が特徴的です。
作品との出会いは2年ほど前、知人のアーティストから「久保田さん、すごく好きだと思うよ」と紹介していただいて、東京藝術大学の修士卒業の発表展に行ったら見事にハマって……そこからお付き合いさせていただいています。

E:2016年に「MAHO KUBOTA GALLERY」をオープンされたとのこと、現在の立地を選んだ理由やレイアウトのこだわりを教えてください。
久保田:現在の場所を選んだ一番の理由は「家の近所だったから」ですが、この地域は昔から文化の香りのする場所で、ファッション・建築・インテリアを生業にする人たちが集うエリアだというのも決め手のひとつでした。
レイアウトのこだわりは、入りやすいかどうか。ビルの4階や5階だと、いままでギャラリーに行ったことがない人にとってはハードルが高いかなと思うので、外から中の様子が見えて、ふらっと立ち寄れる1階路面に設けました。

E:ギャラリーには若い方も多く足を運んでいるとか。
久保田:さまざまな年齢・職業の方がいらっしゃいますが、場所が場所なので、若い方にも多く足を運んでいただいていると思います。デートで来てくれるカップルもいて、日常の中で自然にアートを楽しむ姿を見ると嬉しい気持ちになりますね。ぜひ気軽な気持ちで足を運んでいただきたいです。







